AIを使えば、非エンジニアでもアプリを作れる時代になりました。
ただ、作れることと、使ってもらえることの間には、思っていた以上に深い谷があります。
今日は、僕が白馬の宿泊施設を50件回って、自作した宿専用AIを提案してきた話をします。
外国人のお客様から、同じことを何度も聞かれる
今回作ったサービスの名前は「聞く前に」です。
宿泊施設に来るお客様やスタッフが、誰かに質問する前にAIへ聞ける仕組みです。
特に白馬では、外国人観光客からの問い合わせがかなり多いそうです。
「成田空港から白馬まで、どうやって行けばいいですか」
「五竜と八方と栂池は、何が違いますか」
「英語が通じるレンタルショップはありますか」
「おすすめの飲食店はどこですか」
質問の内容は、ある程度パターン化されています。
でも、そのたびに宿の人が人力で返信している。
1件ずつ見れば数分かもしれません。
ただ、繁忙期に同じ質問が何度も届けば、かなりの負担になります。
ここは、本当に人が毎回答えるべき仕事なんだろうか。
僕は、かなりAIに任せてもいい領域だと思っています。
宿の人が自分で作ればいい、では済まない
AIに詳しい人からすると、
「それくらい、宿の人が自分で作れるのでは」
と思うかもしれません。
たしかに、作ろうと思えば作れます。
実際、宿を運営しながらClaude Codeを触りまくっている人にも会いました。いや、すごいです。
でも、多くの宿泊施設には、新しいAIツールを一から調べる余裕がありません。
接客をして、予約を管理して、部屋を整えて、トラブルに対応する。
お金の余裕も、時間の余裕も、それほど大きくないと聞きます。
そこに「AIを勉強して、自分でチャットボットを作ってください」と言っても、なかなか難しい。
宿の情報を整理し、回答の精度を確認し、間違った案内をしないように調整する必要もあります。
APIの費用や保守もあります。
きれいに言えばAI導入支援ですが、実際はもっと泥くさいです。
白馬の宿を50件回って、即決はゼロだった
そこで僕は、白馬に入り、宿泊施設を一軒ずつ回りました。
営業トークは、こんな感じです。
「外国人のお客様から届く、同じ質問を減らせる宿専用AIを作っています。3分だけ触ってみませんか」
結果として、50件回って、その場で導入が決まった施設はゼロでした。
ゼロです。
なかなか厳しい。
何回目だよ、という感じなんですが、何かを作った瞬間は、ちょっと売れる気がしてしまうんですよね。
でも、現実はそんなに甘くありません。
とはいえ、反応がすべて悪かったわけでもありません。
前向きに検討してくれそうな施設や、関係者と相談すると言ってくれた施設は、5件ほどありました。
およそ1割です。
今すぐ売上にはなりません。
ただ、冬が本番の白馬では、秋に向けて準備が始まる時期に、もう一度話が動く可能性があります。
売れなかったというより、まだ早かった。
そう思いたい気持ちも、まあ、少しあります。
AIで作れる人が増えるほど、売る力が必要になる
最近は、AIを使ったアプリ開発が一気に身近になりました。
アプリやゲームを作る人は、これからますます増えると思います。
ただ、その次に多くの人がぶつかるのが、
「作ったけれど、誰にも触ってもらえない」
という問題です。
SNSで発信する。
広告を出す。
コンテンツを書く。
それも大事です。
でも、宿泊施設のように、忙しくてSNSを見る時間もない人たちに届けるなら、電話や訪問のほうが早いこともあります。
僕があえて宿泊施設向けのサービスを作っているのは、他の人があまりやらない場所に行きたいからです。
強い人たちが集まるWebマーケティングの世界だけで戦うのではなく、実際に現地へ行って、顔を見て話す。
車中泊をしながらAIを売りに行く。
こういうところが、たぶん僕の変なところです。
でも、ここを削ると一気につまらなくなる気がしています。
最初の顧客は、画面の向こうにはいないかもしれない
AIで何でも作れる時代になるほど、作った後の行動に差が出ます。
完成したサービスを投稿して、反応を待つだけではなく、自分から現場へ持っていく。
断られて、話を聞いて、説明の仕方を変える。
その繰り返しの中で、ようやく本当に必要とされる形が見えてきます。
あなたが今、何かを作っているなら、最初の顧客はSNSのフォロワーではないかもしれません。
いつも行く店の人かもしれないし、近所の会社かもしれない。
直接話を聞きに行かなければ、見えない困りごともあります。
即決ゼロは、正直ちょっとへこみます。
それでも僕は、白馬でもう少し営業を続けてみます。
AIがどれだけ進化しても、最後に人を動かすのは、画面の前に座っている時間ではなく、玄関を開けて「3分だけいいですか」と言う力なのかもしれません。
このSubstackでは、AIをきれいに語るだけではなく、現場で売れなかった話や、地方で試している業務改善の記録も書いていきます。
法人向けには、生成AI研修や業務改善の相談も受けています。いきなり大規模なAI導入をするのではなく、問い合わせ対応、メール、資料作成、ブラウザ作業など、現場にある小さな繰り返しから一緒に見直していきます。
ペスハムがこれまでどんなことをやってきたか、その経験が今にどう生きているか、ぜひこちらから読んでみてください。
https://metamake0601.systeme.io/aa3f000b
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